「黒龍の柩」・・・
2010-12-07


このまま夢が実現して慶喜が蝦夷へ渡ってしまうのかと読み進むと、小栗上野介の惨殺そして勝と西郷の駆け引きによって夢が潰えて行き、物語は箱舘での終結へと。。。
そしてなんと、最終章ではこの物語の初めから登場していた武士の身分を捨てた料理人久兵衛が、土方歳三の影武者として一本木に死し、土方歳三は、北の大地に馬を駆けてフェードして行くのである。
蝦夷に夢を実現しようとした男たちが見た夢は、美しすぎたので潰えたと、著者は土方に語らせている。夢を抱くものにとってその夢は、いつでも美しいもであるから、実現しようと努めるのではないのか。その夢が潰えたとき、何故実現出来なかったのかと振り返る。著者は、久兵衛なる人物を最後に影武者に仕立て、結末で夢破れた土方をフェードさせるために利用している。
正史のなかの仮説物語は、夢を追う男として土方歳三を葬ることなく、消え去らせたのであろうか。









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